超駆庵

ひまつぶし

【読書メモ】『真実の10メートル手前』米澤穂信

『真実の10メートル手前』

米澤穂信 / 東京創元社 (2015/12/25刊行)

 

大刀洗さんのシリーズ。

そもそも大刀洗さんが心情を吐露することがほとんどない人なので、『王とサーカス』のように大刀洗さん自身が語り手になると、読者に対して不親切な文章が続くことになり、案の定的なセリフが出てくるとそんなこと書いてなかったじゃんとイラッとくることがあったりなかったりするワケで。

引き換え今作はシャーロックホームズにおけるワトソンのように第三者を語り手とすることで大刀洗さんの不思議な雰囲気とホームズシリーズのごとき探偵役による解説パートも楽しめる、かなり良さげでストレスなく読める短編集。

謎解きの説得力も相まって読後感はかなり良かった。

【読書メモ】『本と鍵の季節』米澤穂信

『本と鍵の季節』

米澤穂信 / 集英社

 

米澤穂信を読んでいるとしばしば伏線が突飛に感じるところがあるのだが、これは読んでいるときにオヤ?と引っ掛かったところがそのまま後に回収されており読んでいるときも読後感も満足度が高かった。

もちろんすべてが予想通りでもなく、ミスリードに見事に引っかかりつつも、あーなるほどそういうことかーと納得できる感じが非常に心地よい。

 

フィクションであれ、あるいはフィクションだからこそ説得力が大切。

【読書メモ】『動物農園』ジョージ・オーウェル

『動物農園』

ジョージ・オーウェル / 吉田健一訳 / 中央公論新社

 

最初から最後まで、まぁそうなるわなぁという展開が続く。風刺なのか警句なのか。

あと、日本語の文章としてはかなりぶっ飛んだ表現だらけなのだが、これは原著でも似たような感じでその辺の雰囲気を伝えるためだったりするのだろうか。

【読書メモ】王とサーカス 米澤穂信

『王とサーカス』

米澤穂信 / 新潮社

 

『さよなら妖精』に出てきた大刀洗さんが主役。『妖精』ではなんでもお見通しで主人公を翻弄していたけれどこちらでは振り回される役回り。この人こんなに察しの悪い人だったのかとなりつつも、実は『妖精』でもこの程度の回り道はしていたんですよと言われたらやはりいつもの米澤穂信に落ち着くことになる。

 

『妖精』に引っ張られずに素直にそのまま読めばよいんだろうけど、どうもその辺で引っかかる。まあもちろん、一瞥だけで何でもかんでも看破しちゃう天才探偵キャラで書かれたらそれはそれで萎えるんだけど。

【読書メモ】『さよなら妖精』米澤穂信

『さよなら妖精』

米澤穂信 / 新潮社

 

ユーゴスラビア紛争の絡んだお話。

個人的にこういうお話は大好物なのだが、つまるところ対岸の火事であり、下卑た覗き見根性が下地になっていることは否めないことをまざまざと突きつけられているようで陰鬱な気分になる。

ユーゴスラビア紛争については、かなり昔、へたすりゃ前世紀に2chに投稿された長編体験談(という体の創作だと思いたいが)が強烈でずっと記憶に残っている。どっかのまとめサイトに残ってないかな。

そういやユーゴスラビア出身のサッカー選手で妖精の異名を持つストイコビッチ選手がゴールパフォーマンスでNATOの空爆に抗議して怒られたこともありましたな。

 

まあ、なんというか、いろいろと考えさせられるお話でした。

【読書メモ】『リカーシブル』米澤穂信

『リカーシブル』

米澤穂信 / 新潮社

 

典型的な言うべきことを言わない、聞くべきことを聞かない登場人物たちが話を長引かせて最後はいきなり終わるパターン。もちろん人間はそれほど割り切った生き方など出来ないのだから、人間味があると評することもできる。

まあ、スッキリ終わっているので、いわゆる終わり良ければというやつだろう。

【読書メモ】筒井康隆『カーテンコール』

『カーテンコール』

筒井康隆 / 新潮社

 

何年か前から本を買う金が勿体ないと図書館にある本はなるべくそちらで借りて読むようになった。そんな中で、新聞の書評欄で出版されたこと自体は知っていたけれど、いつ図書館に行っても貸出中になっていたコイツを数年越しでようやく借りることが出来た。

 

んで、まあ、感想としては面白いんだけど酷く退屈とかいうなんだかよく分からない感じになってしまう。ラゴスを読んだときの面白いんだけど期待していたものとはだいぶ違うあの感覚。

これはまあ、私が筒井康隆にスラップスティックなドタバタや荒唐無稽で風刺が効いたSFを求めてしまっている、求めるというか、筒井康隆の進化に私がついていけずに取り残されているのが自覚できる。

 

まあ、そんな感じ。