超駆庵

ひまつぶし

おニューのキューブとツクダ式の話。

先の記事で「スピードキュービングキットがデファクトスタンダード」などと書いているが、とある大会のデータを調べてみるとSCKは少数派。ほとんどの人が「Dayan Guhong」というものを使っている。

参考:http://contest.tribox.jp/result/contest/333/15/

綴りから見てどうも中国製らしい。どんなものかと調べてみると何やら構造的に工夫が凝らしてあって回しやすいんだそうな。

丁度SCKのシールがベロベロと剥がれてきて不格好になってきたのでシールだけ購入しようと思っていたところなので買ってみた。

真ん中の色つきキューブが噂のGuhong。右側のは同じくDayan社のLingYunってやつ。自分でシールを貼らなきゃならんけど日本国内で出回っている色構成や海外で出回っている色構成を自分で選べたり、はたまた全く好き勝手に貼り付けたり出来る。一番左のビニールに入っているのがシール。

Guhongもシール貼ってない素体にしたかったのだけれど残念ながら売り切れ中。かなり人気のあるものらしい。そこで海外配色ながらシールを貼り替える必要がないカラー版をチョイス。どうやらその構造から大会では使えないものらしいけど大会に出るつもりが無いので一向に構わない。

参考:http://jrca.cc/modules/d3forum/index.php?post_id=576

国内配色のSCKと並べてみた。青と黄色の位置が入れ替わっている。「SCKのシール全然色落ちしてないじゃん、まだ貼り替えなくてもよくね?」と思われるかも知れないが、色落ち以前に端から剥がれてきてベロベロになっているのが問題なのだ。

こちらがLingYun。通販サイトの説明書きに「さらに改良されたパーツが、Guhongとは異なる回し心地を作り出します。」とあったので買ってみた。「さらに改良」ってのがいいじゃん。Guhongとやらの回し心地知らんけど。

んで、数回崩して完成させてってのをやってみた感想。Guhongすごい。なんて言うかすごい。クリンクリン回る。それでいてキューブが吹っ飛びそうになる気配すらない。私のSCKはかなりネジを緩くしてそれでようやく引っかかり無くガショガショ回せる状態にしているのにGuhongはきっちりネジが締まった状態でもほとんど引っかからない。素晴らしい。

LingYunもシール貼らずにカシャカシャ回してみた。Guhongが氷の上を歩くような「ツルツル」した感じで、LingYunは砂浜を歩いた時に足が砂に埋まっていくような「サラサラ」した感じ。すくった砂が指の間から落ちていくような、シルクの肌着が皮膚の上を滑るような、そんな感じでこちらも素晴らしい。

補足:LingYunにシール貼って実際に使ってみて思ったんだけど、たぶんGuhongの「ツルツル」は素体の素材のせいでツルツルになっているんだと思う。ツルツルすぎて逆に回しにくい。普通のGuhongもLingYunみたいにもっとサラサラした回し心地だと予想する。


ここから先は余談。

キューブを完成させる手順には色々あるけれど、もっとも覚えやすいのがツクダ式と呼ばれているもので、これはツクダオリジナル社がルービックキューブを国内販売する時に付録として同封していた解法なのでツクダ式と呼ばれているらしい。ちなみに現在ではルービックキューブの国内販売はメガハウス社が取り仕切っている。ってことは私が一人暮らしを始めた時に買ったツクダ版のキューブはレアな逸品になるのだろうか?出回ってる数を考えたらレアでもなんでもないか。

閑話休題

私が最初に手に入れた(親父が買ってきたヤツ)キューブはいわゆる模造品、パチものだったので解法書が付いていなかった。そこで親父はどっかの雑誌に載っていた解法を手書きで写してきてそれを私たち姉弟に教えてくれた。幼かった我々は比較的覚えも早くちゃっちゃと完成できるようになった。親父自身も頭のいい人だったのであっさりとその解法をマスターし、うちの家庭ではその解法以外知らなかった。

成長してLBL法の存在を知った私は、既に私が知っている解法とは少しだけ違うLBL法を見て、「なるほど、私が今までやって来たのがツクダ式なのか」と思い込んでいた。

そんなある日、というかほんの数日前、ニコニコ動画で見たことのない解法でキューブを組み立てている動画を見つけた。最初に角を揃えていたのでこれが噂に聞くコーナーファーストってやつなのだろうと考えつつ眺めていると流れてくるコメントが「ツクダ式だな」「俺もツクダ式じゃないと揃えられないw」などと、どうやらこの解法がツクダ式であることを断定するコメントばかりだった。

え、なんで?ツクダ式ってこんなやつなの?生まれて初めて見たんだけど。それじゃあ私がツクダ式だと思っていたやつはなんなの!?軽くパニックである。

ツクダ式についてググってみると「現在(SCKではない普通の)キューブを購入するとこの解法書が付いてくる」とあった。一度開封しただけで仕舞い込んでいたメガハウス版ノーマルキューブを慌てて引っ張り出してきて付属の解法書を開いてみると確かに見たこともないやり方である。しかもパターンがビックリするほど少ない。左右反転を除けば完全一面から5パターンぐらいで完成できる。1時間ほど解法と睨めっこしながら回していたらすっかり頭に入ってしまった。なるほどコイツぁ簡単だ。

で、だ。ツクダ式というものは分かったしマスターもしてしまったのだが、私が今までやっていたやり方は一体なんなのだ?

完全一面を作って、ひっくり返して下から2段目を完成させて上面のクロスを完成させて上面のコーナー位置を合わせて上面の色を揃えて上面のエッジ位置を合わせる…、あれ?これって普通にLBLじゃないか?F2L、OLL、PLLにそれぞれちょっと手間をかけているだけでやっていることはLBLそのものじゃないか。つまり親父は最初から私たちにスピードキューブの方法を教えていたと言うことになる。

私がキューブを完成させる技術を得てから30年以上経過して始めて知る事実であった。