超駆庵

ひまつぶし

怖気立つ話。

数日前に部屋にでかいクモがいるのを発見した。いわゆるアシダカグモである。一般的なこのクモのサイズと比べるとまだ小さい方らしいがそれでも普段見かける小指の先ほどの小さなクモとは比較にならないほどでかいので辟易している。

そもそもこのクモが出ると言うことは部屋に食料となる虫がいるということだし、クモも含めて虫が嫌いな私にはそれだけで憂鬱になれる要素しかない。検索すると益虫だし放っておけば害虫を勝手に駆除してくれるし人間に対して害をなすこともないので云々などと一様な意見ばかり出てくるけれど、そんなもん無関係にダメなものはダメなのだ。今は部屋の壁に貼り付いているだけだがうっかり私の生活範囲に侵入された日にはお互い損しかしないではないか。

穏便に出て行ってもらえないだろうかと窓を開けてから殺虫剤を軽く吹きかけてみたが(「クモは益虫」という知識はあるので物凄い罪悪感に苛まれながらである)、家具の裏に逃げ込んでしまうだけで一向に出て行く気配はない。そりゃ彼にしたらエサが潤沢なパラダイスなのだからそうそう出て行く訳にも行かないのだろう。

彼と意思の疎通が出来るのであれば、私の生活範囲に入ってこないことを約束してもらって共存することも吝かではないのだが、残念ながら私はソロモンの指輪を所持していないのでそれも儚い願いでしかない。

虫の類が平気な人であれば「これで害虫がいなくなる有難い」などと思うのだろうが残念ながらこちとらテレビ画面で見るだけでも背筋が凍る思いをするくらい苦手なのだ。

数年来の人生に対する先行き不安ですっかり精神がダメになっているところに――というか学生時代にぶっ壊れた精神状態をそのまま引きずっているので人生の先行きが不安なのであるが――麻雀でストレスを溜め壁にはクモが貼り付いてと立て続けに追加ダメージを食らってもうボロボロで精神ゲージは真っ赤である。麻雀如きでクモ如きでと嗤う人もあろうが、崖っぷちに指先だけでぶら下がっているような精神状態なのでどんな些細なマイナス要素でも崖から落ちるには十分なダメージがあるのだ。

閑話休題。普段見かける小さなクモはDVD-Rのスピンドルケースの半透明な方でカポっと捕まえてから戸外に放り出していたのだがこのサイズとなると迂闊に手出しして捕獲に失敗した挙げ句に腕に飛びつかれて以下略なんてことになったら気を失ってしまうかも知れない。

んで、まぁ、検索したところ
大きなクモの追い出し方 - その他(住まい) 解決済み| 【OKWAVE】
と私とまったく同じ悩みを抱えている人がいて、虫取り網で捕まえるとかクモを対象にした殺虫剤であれこれとか対処法が挙げられているので参考にしたい。つーか、質問者が「大の虫嫌い」と自己紹介しているにも関わらず回答者がデリカシーのない回答を積み重ねているのがたまらん。何事であれ大丈夫な人には苦手な人の気持ちを慮ることは難しいのだろう。友人にイカが食えない人がいるのだが、私は食えるので彼と飲みに行ったときなどに平気でイカの刺身を注文したりする。なんともデリカシーのないことをしていたのだろうと人の振り見て我が振りを反省する次第である。